ゴッホ展

sameo2005-05-12

18時に行ったのだがすごい人。

良かったのは「夜のカフェテラス」と「サン=レミの療養院の庭」という自分が体感した景色が書かれている南仏の2枚。ともにクレラー=ミュラー所蔵。

前者はゴッホがはじめて夜空を描いたとされる作品らしい。フランスという国の夏の夜は本当に長くて21時ごろまで明るい。それが暗くなるのはもう相当遅いのだが、カフェにはおしゃべりや読書、通りを行き交う人を観察する老人などがいたものだ。自分も街はエクサン=プロヴァンスだったけど、カフェで過ごした日々を思い出す。今回は珍しく行列に並んで絵の凹凸まで観察したが、星のまわりに使われている水色が新鮮であった。

後者は耳切事件後に療養のためにアルルから移った直後の作品。実際の光の加減でそうなるのだろうが、この絵ではピンクやベージュや相当薄い緑が使われている。それまでのゴーギャンとの緊迫した生活から逃れ、療養院での安穏とした生活ゆえにこんな色遣いをしたのかもしれない。南仏ではとちらかというと青と黄という補色を使った絵が記憶に残るので、この絵の薄緑は珍しく感じた。それは死を迎えるオーヴェールでの濃い緑とは全く違う優しさを持っていた。この絵はお好みの方が多いせいか、絵はがきが売り切れ。またも自分の凡庸な趣味を知る。