4travel訪問

昨日は旅行のクチコミとホテル・ツアー・航空券の料金比較【フォートラベル】社にヒアリングに行ってきた。

フォートラベルは異色のサイトと言える。何しろサイトの開設が2004年1月と遅い。私は2001年に同僚と一緒に、2ちゃんねるとオールアバウトのカテゴリーを全部見て、どのカテゴリーだとエンドユーザーが情報発信をしやすいか、あるいはユーザーから情報整理が求められているかということを検討した。このときに旅行は有望カテゴリーになったのだが、同時に行った業界構造の分析で、旅行業界からお金を集めることは当時のビジネスモデルからは困難との結論に達した。

そこに遅れてやってきたのが、フォートラベルだ。代表取締役の津田さん曰く、「アフィリエイトの市場が立ち上がっていたことが大きい」とのこと。広告というのは、成功報酬ではないため、旅行業界のように中小の代理店が多い業界では入りにくいのだが、なるほどアフィリエイトであれば、送客してもらえる側のサイトにリスクはないから、それならシブちんの旅行業界でもお金を払ってくれる(結果的に)。それと旅行商品は情報財だから、eコマースでの販売比率が高い。これも後押ししている要因。「メーカーサイトへの送客を行う販売支援事業を立ち上げたとき(2002年11月)に、いちいちアフィリエイトの説明からしなければならなかった」というアイスタイル社とは大きな違い。

あとはBlogというアプリケーションを採用したことでサーチエンジンにひっかかりやすかったこと。加えてSEOのノウハウによりサーチエンジンからの集客を実現したことが大きいようだ。カカクコムに売却するまでの12ヶ月間で、実に月間PVは約1000万、月間UUは約100万人となった。

LAMPLinux, Apache, MySQL, Php)と呼ばれるOSSの採用と創業者2名がシステムの企画とコーディングまでできてしまうために超ローコストのオペレーション。あっと驚くサーバー台数でこのサービスを実現した。

気がつけばCGMなんて言葉が広告業界でも普及してきたが、消費者発信型サイトということで15社以上聞いてきて何となく全体像がつかめてきた。

基本的にスモールビジネスとスケールビジネスの2つのやり口がある。スモールでやるなら、広告、アフィリエイトコンサルティングというあたりが収益のモデル。1カ所に人が集まるページというものがなくても、AdSenseができたからそこそこ稼げる。片手間でやってコストが月に10万円未満で収入が200万円というようなビジネスも可能。集客が少ないとコンサルティングの売上比率が大きくなる。

問題はスケールの方。こちらはやはりリアルへの展開が必要となるし、eコマースをやらないと売上は大きくならない。そして消費者発信情報という一番お金に変えるのが難しいものを、スケールさせるには、という難題が残る。つまりスモールにおけるコンサルティング事業をどう汎用化していくかという問題。これについては何となく仮説ができてきて、説明可能な理論も調べがついてきた。

実は、指導教官というのが「うん」と言わないと論文というのは書けないのだが、その点ももう腹を括った。これでしか書けないから、「あんたが気に入らないのなら、他の先生にします」というだけだ。と、今日は妙に強気。これは津田さんとの会話が面白かったからだな。