RSSと情報流通について 「コンテンツ流通の4層モデル」

何度となく、ここで書こうと思っていたネタに「コンテンツ流通の4層モデル」というのがある。http://www.jkokuryo.com/cases/200410264layermodel.pdf

情報とその取り手(普通に言えば受け手)を

  1. コンテンツ層
  2. メタデータ
  3. コンテクスト層
  4. 経済主体情報層

の4つに分けて3番目のコンテクスト層を独立させたところにその特徴がある。

私自身このモデルに諸手をあげて賛成している訳ではない。特に良くないと思っているのは、細かいところでは、コンテクスト層という名前だ。どうやらコンテクストというのはコンテンツに対する批評情報や、書き手(作り手)のブランドというのを言っているのだが、それはコンテクストではないだろう。ナビゲーション層の方が良いのではと思う。

この「コンテンツ流通の4層モデル」というのは私に近い人たちが考えたもので、先日議論もしたのだが、私にとってのコンテクストというのは、「ある人がどのような文脈でそのコンテンツを見るかといういわば視点のようなもの」である。つまりそれは非常に動的なもので、同じ情報を同じ人が解釈しても、その時の精神状態によって変わってくるということだ。というような話をしたら、そのような動的な意味でのコンテキストは経済主体情報層に含まれるということが議論からわかった。だったらなおのことコンテクスト層はナビゲーション層にするべきだと思う。

彼らの特徴はメタデータ層からコンテクスト層を切り出したところにある。そして将来的にはこのような概念に基づいて実装されたプログラムがより効率的な情報の受け手(取り手)と出し手のマッチングを助けるということを想定している。ところが、機械で扱うことも想定しているせいか、彼らが言っているコンテクストは動的なものではない、それは「ある固定的な見方に基づいたコンテンツへの評価や批評」だからそれは静的なもので、静的なメタデータからあえて切り出す意味がないように思う。

もちろん、コンテンツに対する批評情報や、書き手(作り手)のブランドというのを利用して、より効率的なナビゲーションを助けるというのならわかる。でもあえて、メタデータ層からコンテクスト層と彼らが呼ぶものを切り出す意味がわからない。RSSによって細かい単位ごとに情報が流通しはじめたことで、すでに、まとめサイトというブランドや、アルファーブロガーというブランドや、評価サイトというような評価情報が集まっている場所ということで、コンテクスト層というのは人の頭の中に顕在化きているようにも思う。人の頭の中に顕在化してきているからこそ、機械でサポートしようということなのだろうか。この、なぜコンテクスト層を切り出したのかについては、今後の議論のポイントである。

あとはもう一点、彼らと話して腑に落ちないのは、彼らが、効率的な情報流通を「市場」という形で実現する、と言っている点。ここでいう市場というのは組織に対する市場ということである。彼らに言わせると、たとえば、カカクコムやPTPや@cosmeというのは効率的な情報流通を助ける「組織」なのだそうだ。そのようなサイトが乗っかるプラットフォームとしての市場というのを彼らは想定しているようだ。

ここでの私の疑問は、「じゃあその市場において価格にかわる一元的な指標というのは何なのか?」ということだ。そもそも私が言う意味でのコンテクストによってダイナミックに価値が変わってくるのが情報なのだから(公表されずにいる極秘情報という類のものは希少財だから市場に乗りやすいけれど)、価格というようなさまざまな情報を縮約した一元的な指標に変わるモノがあるとは思えない。果たしてあるのだろうか?それとも一元的な指標が存在しない新しいタイプの市場が想定されているのだろうか?謎である。

とりあえずここら辺で。