サーバー型放送

某所で早稲田大学の亀山渉さんの話を聞く。TV anytime Forumの活動などについて。

  • 現在$100で約250GBのHDDが買える。
  • 10局24時間1ヶ月分のTV放送のデータというのは約19TBのデータ量。
  • 圧縮技術も進化しているので、2008年にはそのデータ量が3TBのHDDに収まる
  • その2008年の3TBのHDDの値段は大体$100と予想されている。

ほー、という感じ。

私が94年頃に「テレビの未来」というような話をしていたときは、いわゆる「オンデマンド」でネット上のサーバーにコンテンツを取りに行く形態が想定されていたが、どうやらホームサーバーに蓄積という形態になりそう。

この違いは非常に大きいのではないか。ネット上のサーバーというのは完全に「あちら側」。これに対してホームサーバーはサーバーでもおそらく我々にとって「こちら側」。そして「こちら側」ゆえその普及はそこそこの速度で進むのではないだろうか。身体拡張が一気に進んだ場合、そのメディアの受容速度は遅くなるというのが一般的だからだ。

それとは違う「あちら側」のデータについて。1年前に「写真のネット上での保管」という仕事をやったときに出した結論は、クライアントの性質も鑑みながら、「パソコンの買い換え時期に注目せよ。その時にあちら側での保管になるかこちら側での保管になるかについて兆候を見極めることが重要」というものだった。

3年前ぐらいから数十GBのHDDを持ったPCが売れているが、その買い換えをするときに、人はそれまでの画像や音声データの移管などについてはじめて具体的な問題として直面する。その時に、「これからはネットで保管よね」となるのか「やはり自分のそばに保管だろ」という風になるのかということだ。

スティーブ・ジョブズは、人は「こちら側」で音楽を所有したがるはず、と読んだのだが、コンテンツの種類によってもちがってくる。こういうところは認知科学や心理学の複合問題だな。