新株予約権は不公正

東京地裁の決定が出て、新株予約権の発行による増資は認めないということになった。この判断自身は私の予想通りであった。それは仮処分の骨子にあるように、

  • フジテレビの支配権維持のための増資
  • ライブドア傘下になっても企業価値落ちない
  • 立会外取引での株取得は違法ではない

と考えていたからだ。

ニッポン放送は2点目を強調していたようだが、放送産業なんてのは、規制産業であるから参入企業が少なく、競合他社への人の流出も少ないし、何しろ給料が良いから(30才で1200万円程度、40才で2000万円程度、フジテレビの全社員平均で1497万円)、他産業への流出も少ない。そういう特殊な産業だから他業界に活かせるノウハウもそう多くはない。だから、同社社員が企業価値が云々と言っているのは、ほとんど「組織のブランドに執着する無意味な自尊心」といえる。

ただ、一方で堀江さんが言っている「テレビとネットの統合」というイメージは依然湧かないし、自分でちょいと考えても難しいと思う。テレビはとにかく下りのコンテンツ流通面では強力なシステム。これをIPベースでやるメリットは少ない。ネットの強みは、上りのコンテンツ流通と、データ蓄積と双方向性にある。

このデータ蓄積と双方向性という点は、ハードディスクレコーダーが、そこそこ満たしてきているので、あとはいかに多彩なコンテンツを作るかということになるのだが、メディアが非マス化すると単位あたりのコンテンツ制作にかけられるコストは当然減る。現在テレビ局はテレビショッピングというコマースの方に流れているが、それはそれなりに検討した結果なのだろう。

まあ、放送業界が15年前のような栄華を極めることはないと思うけど、日枝さんも話しても良いと言い出しているらしいし、堀江さんたちのあっと驚くwin-win企画に期待したい。