出世

週末に会ったメーカー勤務の友人は「これまで本社の管理系人事の中でうまく泳いでいたと思っていたが、××工場の人事に出されてしまった」と語っていた。細かな個別の会社の仕組みまでしらないが、一般的にいって本流からはずれたという解釈をするのが妥当なケースのようだ。

私が関連会社の人と飲むと、「上が詰まっているから課長になれない」という話を結構聞く。私が最初に勤務していた会社は初めての役職が部長で、それは入社して17年程度で初めてつくものだ。なので、一般的に係長とか課長代理なんて役職がある会社よりはあまりみんな出世を気にしていないが、それでも35とかになるとぼちぼちそんな話も出るそうだ。

私は父が研究者だったせいで、こういう話に鈍感に育った。記憶にあるのは、教授になるのに少々時間がかかった父が一時期、夜酒を飲んで荒れることが多かったぐらいだ。

ここで、自分はそんなものは気にしない、などというつもりはない。結局のところ、こういう出世云々の話はやはり環境によって話題の頻度も決まってくるのだろう。そりゃ、30才で課長代理、35才で課長、40才で部長などという風に5年刻みでモデルケースみたいになっていたら自分も気にするだろう。

私はもう、今の会社では上がりだ。もうひとつ上の役職があるが、これは名誉職に近いからまあ無理だ。とはいえ、あと7年もして今の役職のままだったらいろいろ思うのだろうな。まあ、それまではこの会社にいる確率は低いと思うけど。

むしろ本当に気にしているのは、「いくつになるまで自分が若い人に慕われるか」である。60才を過ぎても、20代とか30前半の人が相談しに来てくれるような人になれれば、幸せだと思う。つまり権力はほとんど興味がなくて、カネには結構興味がある。でもそれは少しばかりひとよりも自由になるためのカネで、それよりももっと興味があるのはやっぱり信頼とか人徳とか近づかれやすさなんだな。自分としては。