愚息骨折す

「折れてます」。レントゲン写真を見せながら医師はそういった。打撲だろうと思っていたが、そうではなかった。


危ない、と散々言われていた回転椅子からバランスを崩し落下し、どうやら椅子の足に左のひじをぶつけたらしい。件の回転椅子はアーロンチェアだから、その足は重厚極まりない。まさに愚息だ。私は食器を洗っていたので現場を見ていないのだが。


涙の理由は私にこっぴどく叱られたからだと思っていたが、ずーっと泣いているので聞いてみると、痛いのだそうだ。たしかに腫れが出ている。経験的に打撲と判断し、明日病院に行けばと思っていたが、眠りについた後も痛みで起き、どうしても病院に行きたいという。21時30分ごろに、妻が帰ってきたのを機に、救急病院につれていき、レントゲン写真を撮ると、折れていたというわけだ。


すぐにギブスをはめたのだが、少々無理に間接を曲げてその作業を行った。その時、彼は泣かなかった。今日、ほめてやるとしたらここだな。医師によれば、「女の子は我慢強くて泣かない子が多いが、男の子はたいてい泣く。そうとう痛いはずなのに、えらいねえ。素晴らしい」とのこと。


幸いなことに折れたのは左であったが、3,4週間のギブス生活が始まる。