第1回内装設計打合せ

昨日は設計士の方と第1回内装設計の打合せを行った.今回は初回ということで,場所は自宅.事前にもらっていたマニュアルらしきものでは,7回とされている内装の打合せの第1回のところには「スケルトン仕様の確認」「ご要望のヒアリング」「部屋割の検討」と書かれていたが,メインは後者2つだ.


妻も私も仕事が受託のサービス業なので,クライアントになるのは新鮮で嬉しい.が,この仕事のつらさも知っているので,「いやな客にはなるまい」という気持ちが強い.要はある程度コミットしながら,プロの技はそれとして信頼し,尊重するということだ.


事前に夫婦別々に用意しておいたメモを2人の設計士に渡し,それを確認する形で打合せは進んだ.この2人はなかなか良いコンビというのがわれわれの意見.元来からの性格なのか,仕事上の役割分担なのかわからないが,1人はハードウェアからの計数的アプローチ.もう一人はソフトウェアからのライフスタイルアプローチ.それぞれ図面を見ながら質問をしてくる.必要に応じて,本の量や洋服の量,新居に持ち込むテーブルやソファーの寸法を測る.


今回の物件は2階建てのメゾネット物件である.これは家で仕事をすることの多くなる私が,書斎とリビングの階も雰囲気も変えたいから希望した.2階は天井高で空間的には広がりがあるが,2階合計の絶対的な面積はそんなに広ーいというわけではなく,やや1階の方が2階に比べて広い.


打合せが動いたのは,「子ども部屋を独立させるべきか」「子ども部屋はリビングを通らないと入れないようにするべきか」というあたりの話題のときだ.ここで,1階を細かな部屋にわけて2階をゆったり使う案と,2階のリビング奥に独立した子ども部屋を作る案の2案をもらうということになった.できれば2階は広く使いたいので,前者の案に期待している.「うまく1階に割り振りができれば,2階の空間はもっと発展させることができる」という言葉を信じたい.


私が驚いたのは,その2案の図面が「1週間あればできる」ということ.彼らの事務所の規模や,支払う金額などから大体いくつの仕事を彼らが並行してやっているか察しがつくのだが,2案をおそらく1日か2日で作るのだろう.でも確かに自分もぎゅっと考えて枠組みを作る作業というのは1日か2日だったりする.あとは推敲の作業である.


さて,中村好文によると

クライアントと,そうした理想的な信頼関係が成立させられるかどうかの分かれ目,すなわち最初で最大の山場は,基本設計を提示する時に訪れます.つまり初めて見てもらう基本設計案がクライアントの夢と心をしっかりと鷲摑みにできるかどうかに,その後の命運のすべてがかかっているのです

とのことだが,確かにこちらもどきどきし,わくわくする.


ちなみに

普請の顛末―デザイン史家と建築家の家づくり

普請の顛末―デザイン史家と建築家の家づくり

はクライアントであるデザイン史家の柏木博と建築家中村好文のダイアログで書かれた好著である.どうしても家の設計に関する本は,自分の家のオリジナル性をいたずらに強調するか,最大公約数的ニーズにこたえるものに分かれてしまうが,この本は2人の関係性や同じ現象をそれぞれの立場からどう見たかという観点で書かれており,心地よく読めた.