かろうじて勝ち 日本2-1北朝鮮

大黒が後半ロスタイムに代表初ゴールで2−1。ということで、「大黒!」というような見出しが明日は並ぶのだろう。

それは置いておいて・・・

ゲーム開始4分でいきなり小笠原がFKで先制。これは本当に素晴らしいゴール。距離は30メートルほど、ペナリティエリア左で三都主がもらったFKを右足で巻き込むながら落とすボール。左隅低い位置にゴール。この得点は結果的に北朝鮮のゲームプランを狂わせ、後半の選手交代の駒を使えないことになるので、非常に価値のあるゴールとなった。もちろん勝ったから言えることだが。

おそらく北朝鮮は主力のFWを2人とも温存しながら、前半0−0、後半勝負を狙っていたと思われる。それが前半20分過ぎから主力FWを2枚も投入することになる。そして想像以上にアグレッシブな攻めを見せる。

これに対して、日本は守備が冴えない。宮本が「応援に後押しされて、90分間攻めるのではなく、攻める時間とそんなに攻めるのではない時間を作りゲームをコントロールしたい」と言っていたのが印象に残っていたし、今の日本代表ならそれができると思っていたので、今はそれほど攻める時間帯ではないのかとしばらく思っていたが、明らかに中盤の寄せが遅い。前を向きながらプレーする相手選手の数が多い。たまにダイレクトパスが2本ほど北朝鮮はつながって、最後のパスがスペースに出てシュートというケースも出てくる。また攻撃に関しては横パスのパススピードが遅いため、敵のマークを外している間に攻撃陣に縦パスが出せない。さらに比較するのは酷だが、小笠原が中村ほどのタメを作れないので、攻撃が単調で、押し上げるボランチが左右へと球を大きく振る展開もほとんどない。

何となく日本のできの悪さを感じながら前半終了。

後半に入っても、日本のできはさほど変化がない。ジーコの指示はどんなものだったのか気になる。そして、一度は右からのクロスに飛び込んだヘディングシュートを川口がはじき出すも、ナム・サンチョルのゴールが16分に決まる。これはダイレクトあるいは2タッチでのパスが4本つながり、最後のシュートも左足のアウトで素晴らしい。これまでの2得点はいずれも入るべくして入ったシュートと言える。

ここからのジーコの采配は大胆。そしてこれが結果的に3人目の大黒で当たることになる。高原を鈴木、ついで俊輔をなんと田中に代えて投入。ここで4バックにシステム変更。そしてやや間をおいて大黒と玉田を代える。

この時間帯で存在感を示したのがやはり俊輔だ。彼のドリブルと切り返しはやはり格がアジアでは違う。ボールをキープしながら自身でクロスやグラウンダーを入れる。また回りを使うことで高原へのボールの供給が増える。やや下がった位置からの小笠原のロングフィードも回数が増える。北朝鮮は足のつった選手を交代させるしか対抗策は打てず、残り15分ほどで点が入る確率は50%程度と思いながら見る。

得点のシーンは、実は前半からずっと気になっていたハイボールに対するキーパーの処理のミスとも言える。キャッチするべきボールをパンチングしていたし、またそのパンチングのクリアの方向が悪い。まさに決勝点はキーパーのパンチングが正面に転がってきたところを福西が落として、大黒が反転しながら左足でゴロのゴール。

アウェーのイラン戦は田中と三都主が出られない。田中は松田が代わりとなるだろう。三都主については、中田浩二を使うのだろうが、システム変更するのかというあたりが気になる。また稲本や小野、場合によっては中田英という選択肢も持っているので、まあ相手の初戦の結果や戦術分析をしながら直前に決めるのだろう。