経営コンサルタントの分類学

ついに休職に入った。しかし忙しさに変わりはない。むしろプレッシャーは高まった。胃が痛い。

経営コンサルタントというのは、何年かたつと自分で手を動かす比率が減ってきて、プロジェクトのマネジメントが仕事の中心となる。さらに何年かたつと今度はセールスが仕事の中心になる。プロジェクトマネジメントの比率が高まるという変化は連続的な変化で、セールスの比率が高まるというのは非連続な変化だ。実感として。

セールスがうまい人には大きく分けて2種類いる。ひとつは確信犯的に売る人。自分のセールストークに嘘が含まれていることを知りながら売る。あるいは自分の考えたフレームワークを試すためにクライアントを獲得するタイプ。もう一つは自分のコンセプトを信じ切って売るタイプ。

経験則から言うと、前者のタイプがコンサルタントとして大成する。後者は勢いはあるのだが、自分が得意とする、あるいは興味がある分野にしか勢いは出ない。そんな複数の分野に対する信仰を持てる人はいない。だから2年か3年で勢いがなくなる。勢いがなくなった後で、確信犯的に売ることに転じる人もいる。けれどもこれはかなりつらいことだ。人生が嘘で塗り固められる上、それが自身にとって自然な行為ではないからだ。

一方で確信犯に転じることができない人もいる。こういう人のうち、自分の興味ある分野がかなり狭くて探求心があると、研究者に向かう。そしてそもそも興味があると思っていた分野に対する興味がそれほどでないと知った人、あるいは研究者に向かない人は事業会社に転じる。保守的な人は外資系の大企業かなんかで、ハイリスクを許容できる人は起業したりする。その中間だとYahoo!とか楽天とかに転職する。

またもともと確信犯的に売れる人も、しばらくたつとさらに分化する。名誉と収入を重んじてコンサルティングファームに50までとどまる人と、小金を得た後で自由な時間を求めて40すぎに独立する人とにである。さらに言うと、この後者のタイプと前述の研究者タイプはかなり指向性は近い。ただ、セールスという行為に対する自分の人生における重み(かける手間とその意味という2つの面で)が違うだけだ。

というわけで、僕が未だにつきあえている、よきこの業界の先輩は、確信犯的に売った後に自由になった人たちなのである。